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家賃を時給に換算する考え方の罠

基本的にはとっても使える考え方だなあと賛同しつつ、2点ほどツッコミをしておきたい。
山崎元の時事日想:時給で見る、どんなところに住むかという考え方 (1/2) - ITmedia ビジネスオンライン
山崎元の時事日想:時給で見る、どんなところに住むかという考え方 (2/2) - ITmedia ビジネスオンライン

たとえば、時給3000円のビジネスパーソンであれば、往復で1時間の差は、月間の出勤日数を20日として月6万円の価値の差があると考えてみるといい。つまり、家賃が6万円高くてもいいから、会社の近くに住む価値があるということだ。

1. 勤務時間外にも勤務中と同じ時給に相当する価値を生み出せるなら、そもそも会社に囲われた生活なんかしてねえええ

これは一見もっともらしくみえるけれども、いざ実際に仕事場に30分近いところに住めたとして、浮いた月20時間で6万円分を取り戻すだけの有効活用をできるかっていったら、そら無理っていう方が大部分なのではあるまいか。引用部の後ろではわざわざ "将来への「投資」に使えるから、通勤の時間差の価値は、これを時給で換算したよりも大きいはず" ともあるのだが、フルにその「投資」の効果を享受できて時給以上のパフォーマンスなり価値なりを自分にフィードバックできるのなら、そもそも仕事よりそっちをメインにしちゃった方がいいのではと思わざるを得ない。
実際のところは小人閑居してなんとやら、浮いた時間はしょーもないことに使ってしまうに違いない。人によっては金が飛ぶだけの娯楽に注ぎ込んで、楽しくはあるけど金額的にはマイナスにしてしまうかもしれない。あと、通勤時間自体の価値も必ずしもゼロではないとか、通勤に時間はかかるけど定期代を会社が出してくれるなら途中駅へダータで行けるメリットがあるとか(これは経路によるか)、個人の事情で価値の差が潰れていく部分はかなり大きい。
その辺もろもろ勘案して、俺の場合はだいたい時給換算で仕事の収入の1/2〜1/3が関の山ではないかと思っている。つまり時給3000円のビジネスパーソンであれば、往復で1時間の差は家賃にすれば月せいぜい2〜3万円分だろう。それでもけっこう大きいのだけど。

2. 数ヶ月ごとに勤務地の変わる常駐・派遣IT土方がそう簡単に仕事場の近くに住めるかっつーの

個人的にはこちらの方がツッコミとしては大きい。これは就いてる仕事の特性なので関係ない人にとっては関係ない話なのだが、IT業界だと勤務地が数ヶ月単位でちょこちょこ変わる人が多いと思われる。ちょこちょことはいっても2駅3駅程度の話ではなく、たとえば都心で働いていたのがいきなり来月から横浜とか浦和とか言われたりするわけですよ。あっという間に通勤時間が1時間とか延びてしまう。転勤というほどの距離じゃないので引越し代も補助されないしね。そのペースにあわせていちいち近くに引っ越しても、引越し代やら礼金やらバンバン飛んでって無駄以外の何モノでもない。そういう職業の人は、まあ予想される勤務地の範囲から離れすぎないようにという極めて大雑把な基準で選ぶしかないよねー、というオチになってしまうのです。
ちなみにかくいう俺も引越し後すぐに仕事場がかわって遠くなってしまいました!かなりガッカリです!でも通勤ラッシュにはほとんど遭わないから車中の時間はそこそこ何かしらに使えるのでさして損してるわけでもない…とでも思わないとやってられねーしょん。ケッ。


とまあいろいろ言うたけど、使える人には使える基準かもしれないなーとは思います。とくに2.のツッコミと無縁な、仕事場が長期間変わりそうにない人にとってはだいぶ重要だと思う。時給に換算しなくても、自由な時間が増えるのはそれだけでありがたいものね。といっても住居の決定においては、結婚しているか、はたまた子供がいるかどうかといったあたりの方が大きく選択を左右しそうだけど。
つーか、そもそも時給換算で3000円分も貰ってるようなひとはこんな場末のエントリなんか読まねえよな!