金魚運動で全て解決します。保存会

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感覚の違い

元ORJPさんとこの記事 http://d.hatena.ne.jp/orjp/20050201/p4 とそれへのコメント、さらには翌日のフォロー記事の流れが興味深かった。むこうでは「怒りのツボ」と表現されているが、他人の文章を読むときに感覚の違いをきちんと承知して読むのは意外と難しいものだ。
ちょうど俺もそんなことを今日実感したので書いてみる。
某ゲーム系サイトのブログのコメント欄に、NDSについての好ましくない内容がソニー社内(GateKeeper.Sony.CO.JP)から書き込まれたという件が以前あった。流れとしては、当初は好ましくなさそうなコメントがいくつか投稿されたというだけだったのが、そのうちの一つがソニーから書かれていたことを管理人が公表したことで一気に事実が広まった。
これについて、以下のように記しているサイトがある。

先に言わせてもらうと、書き込みしたIPなりドメインを公開する方がアホだろ、って話がある。
最初から公開することを明らかにしているのであれば公開されても致し方ないが、非公開として掲示板なりブログのコメントを運営しているのであれば公開すべきではない。まず、この点で公開した人間の人間性が疑われる。

(http://www.makonako.com/mt/archives/2005/02/post_50.html まこなこ:ソニーゲートキーパー問題について語る)
こういう感覚を普通に持つ人間がいる可能性については否定しないけど、俺には真似できない感覚だ。アクセス元ドメインIPアドレスは基本的には公開情報であり、なんの限定もないもとでは公開するもしないも原則的にはアクセスされたサイトの管理者の自由だ。ドメイン名の中には個人情報まで容易に特定できてしまうものもあるので一概には言えないが、そうでない、すなわち個人情報の範疇に入らないものであれば公開されても原則的には文句はいえないはずだ。
しかしその原則を杓子定規に適用されることには感情レベルでの反発があるから、その感情を汲む管理人が自主的にIPアドレスドメインを「公開しません」と宣言する場合もある。それはそれでその管理人とアクセスしている閲覧者とのあいだの約束事だから、公開しませんと明示的に言っていた管理人が勝手に公開すれば問題にはなるだろうし、それについては第三者がどうこう述べる話ではない。また逆に、アクセス解析を行っていることをわざわざ明示したり、さらにはアクセス元IPアドレスなりドメインなりを公開することもあるとわざわざ断っていたりするサイトもあるが、これもあくまでサイト管理者の親切、あるいは余計な諍いの予防という意味での宣言であって、そう宣言しなければアクセス元を公開してはいけないというものではまったくない。
本題に戻る。引用元の「非公開として」というのが何を指すのかわからないが、ただ単にデフォルトで公開していないだけの状態のことを指すならば、それは公開しても何の問題もない。これは技術的な意味のみならず、前述したように個人が特定できるときなどの特殊な条件下においてでなければ道義的な意味でもやはり問題ない。「公開しない」と宣言しているのなら別だが、そうでないのに公開すべきでないという意見は俺の感覚としてはまったく受け入れがたい。
ちなみにこの某ゲーム系サイトとはある特定のサイトを指しており、それなりの情報収集能力があれば特定可能だ。つまりこの記事はそのサイトの管理者を「アホ」「人間性が疑われる」と名指しで書いているのだった。こういうことを平気で言えるというのも俺の感覚とはそぐわない。が、それくらいあたりまえという感覚の人間がいることも承知しているし、それはそれでかまわないこととは思う。
それにしても感覚の違いというのは理性よりレベルの低いところでの反応をひきおこす。それを抑えきれなかったがために俺はこの文を書いているのであり、早い話「ヒートアップ」してしまっているということだ。俺は未熟者だ。精進が足らぬ。

注記

上の文はべつに「サイト管理者はアクセス元IPアドレスを積極的に公開せよ」と言っているのではない。どんな形であれ公開されることを快く思わない人が多くいることは理解できるし、実際問題無差別に公開したほうが良い結果を生むわけでないことも想像はつく。だからといって、公開しないことを常識・前提とした上で話が進められることには俺の感覚では納得ができないというだけのことだ。