金魚運動で全て解決します。保存会

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ひきこもりを二時間で直すセソセイ

http://www.hang-out.jp/out/weekly/saito05.html 経由で知った
(id:zunndada:20040928)
長田百合子公式ホームページ mentalcare web

ひきこもりを二時間怒鳴りつけ罵倒してむりやり引きずり出すという自称「治療」をやるところらしい。
もし、ひきこもってる人がこんな目に遭って二時間以内に自殺でもしようもんならどうなるのかね。この人を殺人罪に問えるのかな。というか、こんな治療をしているというだけで未遂に問うていただきたいな。某ヨットスクールの校長を逮捕して、某P2Pソフトウェアの作者も逮捕した某国の官憲なら、こっちもできるでしょ。


上の公式サイトの説明を良くみてみると、この「治療」の対象となるひきこもりの条件は非常に限られていますね。たとえば「2時間メンタルケア」の対象の条件はこんなかんじ。

  • 半年以内の不登校であること。(小学生は何年でも可)
  • 非行タイプではなく、ひきこもりタイプであること。
  • 昼夜逆転していないこと。(小学生は逆転でも可)
  • (子供又は母親が)向精神薬を一度も服用したことがないこと。
  • (両親が)反省し、学ぶ姿勢が強いこと。
  • (両親が)長田百合子を信頼し、と共に歩もうとする意志が固いこと。

これはつまり

  • 重度、あるいは危険な対象ははなから相手にしない
  • 最終的な責任をすべて両親に押しつける

ということですね。いやまあそれが間違ってるかどうかは別の問題。自分の行おうとする行為の有効範囲を見極めるのは当然だし、子育ての責任を両親が負うのもそもそも当然だし。というかこの「治療」プログラムのメインは実は親の意識改革にあるらしく、その点については俺も一理を認むるに吝かでない。ただしそれはそれで難しいとは思うが(つーかそういうのはやるんだったら子供が就学する前くらいの若い親に対してやっとくべきなんだろうな)。
しかし、それにしたってこの手法が絶対に有効だなんてことはありえないですよ。とくに子供にとっては。小中学校は行かなければならないことに法律でなってますが、そこが行ってよかったと思える場所かどうかはわからない。行ったっていじめられるだけの学校だったら行く意味がどこにありましょうや。
この人のメンタルケアの理念の一つとして「過去の話はしない」というのがあるそうです。

過去に捕われている限り、明日が見えて来ません。明日が見えないということは、子供の心に最も大切な「夢」や「希望」や「目標」が、いつまでたっても手に入らないということです。子供の一日は、私たち大人の一日よりも、遥かに尊く大切なものです。いい思い出を、いっぱい作って貰わねば絶対に困るのです。月並みな言い方ですが、素晴らしき青春は二度と戻ってはきません。明日を見て、遥か未来を見て、前へ前へ進んで貰いたいから、子どもを相手にして過去の話を聞いている暇などないのです。

これに対してははっきりと「違う」と言います。子供が捕われている過去を無視して強引に明るい未来を見せようとして何の意味があるのでしょう?ほら明るい未来をごらん、と子供に言ったところで、その子供にもその未来が明るく見えるとは限りません。人間は結局のところ過去の経験からしか未来を類推できません。子供であればなおさらです。暗い過去しか知らない子供に未来を見せたいのならば、その未来が過去と違うものであることを教えてあげなければいけない。それをするのにどうして過去を知らずにできるのか。ひきこもる子供にとっては外界すべてが暗い過去につながっている。そうじゃないんだよと教えるのに、原因となる過去を無視して恫喝じみた説得だけで済まそうだなんて虫がいいにも程がある。よしんばそれで説得されちゃったとして、その子供は過去に蓋をして生きることになる。このことがどんなに危険かわかっちゃいねえんだろうな。まあそういうことで、俺は対象の過去に向きあわないカウンセラーなんて絶対に信用しませんよ。